まちこの日本昔話8
さて、今夜もあなたのために昔話つくったよ。聞いてね!
えー世の中には、さまざまな生き物がいきものものと、ございますが
中には、生きものなのか、物なのか、まったく見当のつかないのがございますな。
たとえば人形なんかがそうでございます。
まったく動かないようで、ございますが、
部屋のすみっこのほうで、昔馴染みのような顔して、じーっとこっちをみてるんですな
じーっとみられているような気がするもんですから、こっちも、んんっと、見つめ返す。
すると向こうも、んんっとなるかっていうと、そうじゃあない、じーっと観てる。
しばらくつづけるけども、なんもかわらない、
なんでえ、やっぱり生きてねえんだな。なんて、また日常に入ってく、
すると、また、じーっと、観てるような気がしてくるんですな。
んん、気配があるってえのは、どういうもんだ。なんていちいちおちつかなくなってくるもんでございますから、
えい、っと人形を、壁のほうえ向けちまう。
ほっと、安心してると、こんどあ、なんか、人形がかわいそうになってくる。
壁みてるんじゃあ、妙に、かわいそうな奴に見えてくるんですな。
そんなわけで、ございますから、とうとう、こりゃあ、生きてるってことにしちまうんです。
すると、存外気が楽になったりしますな。
よお、ただいま帰ったよ。なんて、一声かけて、その日の報告をしてやるんですな。
「今日も、赤面しちまって、誰ともしゃべれねえ、一日だったよ、へへっどうだい?」
なんて聞くと、
「・・・。」
そうかい、変わりあなかったかい。なんてやってる。
生きてるってことにしたけども、やっぱり、こいつああ、生きてねえのかな。なんてあらためて想ったりするんですな。
窓の外に子供なんか見るってえとやはり、人形は、人形。
やっぱあ、生きてねえな。と、もとの場所に戻す。
妙にさびっしいような気分にもなりますが、桜のいい日和なんかあ、あるとすっかり忘れてる。
ああ、気持ちいい日だあ。
それから、しばらくたったある快便の日です。
「おじゃましま~す♪」
「おお、いらっしゃいいらっしゃい、どうぞあがってあがって、せまいとこだけど我が城ってもんよ」
「ここが熊八っさんのおうちかあ、きゃああ!!」
「おう!どうしたんでえ!?」
「何あの人形!?」
「ああ、昔、浜辺に落っこちてたから拾ってやったんだよ。」
「あれ人形!?生きてるんじゃないの?」
「いやあ、人形だよ。たぶん。」
「ちょっと、あたし、怖いから、帰るわ。ごめんね、熊八さん!」
「ちょっ、待ちねえ!!・・・。あーあいっちまった」
なんてことがあったもんですからあ、こりゃあしょうがねえ、もうどっかにやっちまおうってんで、
どっかにやっちまわれたのが、
そうです。
あたくしで、ございます。
人形は、生きていたんでございます。
ただ、恥ずかしがりやさんすぎて、しゃべれず、動けず。だったんでございます。
あなたさまのそばにじっとしているだけで幸せだったんでございます。
いまでは、だまって、屋根裏に忍び込んでいるんでございます。
あなたさまに拾われる前は、人形でしたが今は人魚くらいになったのです。
まちこより
えー世の中には、さまざまな生き物がいきものものと、ございますが
中には、生きものなのか、物なのか、まったく見当のつかないのがございますな。
たとえば人形なんかがそうでございます。
まったく動かないようで、ございますが、
部屋のすみっこのほうで、昔馴染みのような顔して、じーっとこっちをみてるんですな
じーっとみられているような気がするもんですから、こっちも、んんっと、見つめ返す。
すると向こうも、んんっとなるかっていうと、そうじゃあない、じーっと観てる。
しばらくつづけるけども、なんもかわらない、
なんでえ、やっぱり生きてねえんだな。なんて、また日常に入ってく、
すると、また、じーっと、観てるような気がしてくるんですな。
んん、気配があるってえのは、どういうもんだ。なんていちいちおちつかなくなってくるもんでございますから、
えい、っと人形を、壁のほうえ向けちまう。
ほっと、安心してると、こんどあ、なんか、人形がかわいそうになってくる。
壁みてるんじゃあ、妙に、かわいそうな奴に見えてくるんですな。
そんなわけで、ございますから、とうとう、こりゃあ、生きてるってことにしちまうんです。
すると、存外気が楽になったりしますな。
よお、ただいま帰ったよ。なんて、一声かけて、その日の報告をしてやるんですな。
「今日も、赤面しちまって、誰ともしゃべれねえ、一日だったよ、へへっどうだい?」
なんて聞くと、
「・・・。」
そうかい、変わりあなかったかい。なんてやってる。
生きてるってことにしたけども、やっぱり、こいつああ、生きてねえのかな。なんてあらためて想ったりするんですな。
窓の外に子供なんか見るってえとやはり、人形は、人形。
やっぱあ、生きてねえな。と、もとの場所に戻す。
妙にさびっしいような気分にもなりますが、桜のいい日和なんかあ、あるとすっかり忘れてる。
ああ、気持ちいい日だあ。
それから、しばらくたったある快便の日です。
「おじゃましま~す♪」
「おお、いらっしゃいいらっしゃい、どうぞあがってあがって、せまいとこだけど我が城ってもんよ」
「ここが熊八っさんのおうちかあ、きゃああ!!」
「おう!どうしたんでえ!?」
「何あの人形!?」
「ああ、昔、浜辺に落っこちてたから拾ってやったんだよ。」
「あれ人形!?生きてるんじゃないの?」
「いやあ、人形だよ。たぶん。」
「ちょっと、あたし、怖いから、帰るわ。ごめんね、熊八さん!」
「ちょっ、待ちねえ!!・・・。あーあいっちまった」
なんてことがあったもんですからあ、こりゃあしょうがねえ、もうどっかにやっちまおうってんで、
どっかにやっちまわれたのが、
そうです。
あたくしで、ございます。
人形は、生きていたんでございます。
ただ、恥ずかしがりやさんすぎて、しゃべれず、動けず。だったんでございます。
あなたさまのそばにじっとしているだけで幸せだったんでございます。
いまでは、だまって、屋根裏に忍び込んでいるんでございます。
あなたさまに拾われる前は、人形でしたが今は人魚くらいになったのです。
まちこより
by kojiki-machiko | 2011-04-20 00:37