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無料のおもしろネタ画像『デコじろう』用アイコン02 まちこの恋文34   

首ったけ。
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あなたを深く愛していた私は、さらし首になったのです。


あなたは、馬でした。

わたしは、毎日、毎日、馬小屋へ通い、あなたにすべてをささげていました。

藁のなか笑う。藁のふとん、少しはみ出る、あなたの立派なお尻、眠ってる。

毛並みは草原。緩やかな風、身体の中が青い空。

ささいなことがいつまでも私を感激させたのでした。


なぜ父さんは、わたしたちを理解してくださらなかったのでしょう。

ささいなことに感激できない父は、インターナショナルがどうだとか言って、
覚えたての英語でこうしかったのでした。

「まちこ、おまえは、馬でねえ、鏡を見れ!
ほら、人間の女。ウーマンだべ!な!ウーマンだべ!!」

わたしは知っていました。父さんは、ウーマンと言いたかっただけなのです。

それでも父さんがわたしを愛しているのはとてもわかっていました。

立派になれ、世界で胸を張れる、ジャパニーズウーマンさなれ!

父さんの夢とわたしの夢は、違うのです。

わたしは、ささやかなくらしの中に真実の愛を知ったのです。
父さんの抱えたコンプレックスを植え付けたのは、誰でしょうか。

わたしは、父さんにもっと自信をもって欲しかったな。

そんなあなたとはかけ離れた話をする私をあなたは、
黒く深い眼で静かに見つめ、深い鼻息をかけてくださいましたね。
あの、かぐわしく包み込むあなたの鼻息の匂いが大地そのもの。

鼻息ひとつで、あなたは、

いつまでもわたしの胸を、名づけられたことのない世界へ連れて行ってくれた。

この世に愛していけないものなんて、あって?


とうさんは、あなたの首を落としてしまいました。


首のなくなった身体は、重心を失い、倒れ、血は花火

たくましい四肢は、中空を、空っぽの世界を、蹴って、蹴って、遥か遠く、彼岸を超えて…

あなたは、地球の重力から、解放されていったのです。


あたし、地球の芯がアホほどさみしがってるの知ってる。

重力だ、引力だ、あたしたちを縛っているのは、地球かな。


首のない身体って、あんな風に駆けるんだ。

あなたのように、あたしも駆け抜けることができたらな。

首を落とされた私の体は、どうやって、痙攣するのかな。

あなたの死みたいに、

嘶(いなな)く身体であったらいいな。



あなたは、躍動していく静かな魂の持ち主でした。


首をささげてあなたのもとへ


父さんに、気持ち伝わったのかな。
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わたしたちの首、オシラサマに捧げます。
まちこより

by kojiki-machiko | 2009-08-22 13:05

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