人気ブログランキング | 話題のタグを見る

無料のおもしろネタ画像『デコじろう』用アイコン02 まちこの恋文45   


「きみの剛毛は、拷問だよ。」って、あなたに言われたのまだ気にしてます。


わたしは、棘だらけなの?って。


体毛は、やさしいから、あたしのこと守ってる。のじゃなかった。

誰かを、突き刺してた。


毛先には、返しが付いてるから、一度刺さったら抜けない仕組みに進化していた。


これは、生まれながらか、暮しのうちに身につけてしまったのか

わたしには、区別がつきませんでした。


怖い!あたしが怖いの!



そう時刻は、ちょうど、宵の口
まちこの恋文45_c0195271_0283148.jpg


夜でもないのに、寝てしまったあなたは、鼾(いびき)をかいていて。

その鼾は、ほんとうに耳につきささる鼾で、

その鼾にいびられているようで、つらく、これだって、拷問じゃないか。

と、めそめそしたけど、やっぱり、寝顔をみていると、

「この鼾も食べてしまいたい。」なんて思うのでした。


「世界は運動しているだけなのです。」

「だから、いいもわるいもありません。」


そう心に3度繰り返して。

とうとう、あたし、あなたの鼻に噛みついた。


鼻は、ちぎれて、あたしの口の中に残りました。


あなたは、ぎゃっと目覚め、「ぎゃっ!」と呻(うめ)きました。

鼻は、梅の花の形にちぎれていたので、あ、梅が呻いた。と思うと

「らりすんだよ!!」と、うるさいあなた。

「だって、お経が書いてなかったんだもん」と、やさしいあたし。

鼻をおさえたあなたの手からは、血が散っていました。


ひさかたの、ひかり鋭き、冬の日に、しずこころなく、鼻の散るらむ。

と。紀貫之も言ってたなあ。


「あ、よくみると、あなたの体、どこにもお経が、書いてないわね。」


あたし、あなたの目に吸いつくと、キュポン。キュポン。ふたつ、口に、丸い玉。

じゅるじゅる。ごくん。

んめー。んめー。

「ぎゃー!」だの。「んごー!」だの。

五月蠅い口は、季節はずれだ、くっちまえ。


ゆうやけ、こやけて、宵の口

わたしは、ただ、ただ、はらへった


わたしは、ただただ、はらへった。




わたしの好きな時間に宵の口があります。

それは、逢魔時(おうまがどき)ともよばれ、お化けやもののけに

あいやすいときだということです。


わたし、あなたに会いたい。

目、鼻、口。と三撃くらわせて。

ユビキリ拳万、うそついたら、の口に、放り込む。


いま、あなたを食べる夢を見てるとこ。いまは、まだ、夢。
まちこの恋文45_c0195271_0412912.jpg


まちこより

by kojiki-machiko | 2009-11-18 00:23

<< まちこの恋文46 まちこの恋文44 >>